鎮守の森のプロジェクトは、故 宮脇昭博士(2021年7月逝去)指導の生物学的な植樹方法による「災害からいのちを守る森」づくりを行なっています。約半世紀をかけて試行錯誤を重ね構築された技術です。「鎮守の森の教室」では、いわゆる「宮脇方式」の森づくりについて理解を深めていただくために、毎年開催しています。(Miyawaki method official)
台風被害とコロナ禍により中止していた「鎮守の森の教室」は、2年ぶりの開催となりました。この日は晴天により、会場となった君津市の山からは壮大な景色を見ることができました。
定員数50名の募集はあっという間に申込みで埋まり、当日体調をくずされた3名様をのぞく47名が参加してくれました。関東圏にお住まいの方や、遠くは北海道、滋賀県、兵庫県からの参加者もいらっしゃいました。午前中は、東京農業大学教授の鈴木伸一先生の講義から行いました。鈴木先生は、宮脇先生の元で7年間研究生として学ばれた弟子にあたる方であり、当財団技術部会長であります。鈴木先生からは、「宮脇方式」の真骨頂「その地域の自然植生」とは何かを主軸に森づくりの講義をしていただきました。植生調査のお話無しには「宮脇方式」は語れません。大学の講義のような、少し難しいお話でしたが皆さん真剣に耳を傾け、理解を深めてくれました。
講義の後は外に出て、実際に森を歩きながら気軽なフィールドワークを楽しみました。鈴木教授と西野先生の2チームに分かれて行いました。西野先生は、宮脇方式を受け継ぐ若手の林学博士です。
昼食のお弁当を食べた後は、圃場でのポット苗づくり体験です。今年、東北で採種したどんぐりをつかって、2〜3年後に植樹祭で使用するポット苗をつくります。植樹成功の要はなんといっても「ポット苗の根っこ」です。良い根っこにするための企業秘密級な技術、土壌づくり、播種・鉢上げ方法、水やり、肥料などを全て公開しています。
良い根と悪い根の比較です。葉の数や幹の太さが同じでも、根っこを見て見ると大きな違いがあります。厳しい環境や冬に耐えうるポット苗にするには、根っこが要です。デモンストレーションの後は実際の体験に移ります。今回は5パーティーに分かれて行いました。
最後は、鉢上げをしたものに水やりをします。「水やり10年」という言葉があるくらい、実は重要な作業です。充分な水やりと適度な乾燥を繰り返すことで活発な発根を促します。日々の水やりのタイミングは朝夕どちらかで、あげすぎ注意です。鉢上げから2〜3年後には、植樹する苗へと成長します。
「聞き逃した。もう一度講義を聞きたい」という方は、過去に撮影したロングバーションの動画をYouTubeでご覧いただくことができます。また、今年の鈴木伸一農大教授のテキストはこちらです(PDF)。